リリース障害はなぜ起こる?システム改修の現場から学んだ“備え”の重要性 コラム#78

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先日、高速道路のETCシステムにおいて障害が発生し、多くの利用者が精算できず、大きな混雑と混乱が生じました。この障害は、新たな深夜割引の導入に伴うETCシステムの改修作業後に発生した可能性が高いとされています。

このように、システム改修後のリリースには常に一定のリスクが伴います。そのため、想定されるあらゆる事象に備えた事前準備が欠かせません。しかしながら、現実には100%障害を防ぐことは非常に難しいのが実情です。本コラムでは、リリース障害がなぜ起こるのか、その背景と対策について考察していきます。

1. 「改修」という言葉に潜む落とし穴

「システム改修」と聞くと、「少し手を加える程度」といった軽い印象を持たれるかもしれません。しかし実際には、想像以上に繊細な作業が求められます。たとえ機能追加やコードの一部修正といった地味に見える作業であっても、既存システムに手を加えることは、全体のバランスに影響を与えるリスクを伴います。

特に、機能間の依存関係が複雑に絡み合う大規模なシステムでは、ひとつの改修が思わぬ箇所に影響を与えることも少なくありません。

2. リリース当日の緊張感

いよいよ迎えたリリース当日。環境構築やリハーサルも万全に整え、「これで問題ないだろう」と思ったその瞬間に、予期せぬリリース障害が発生することがあります。

私自身の経験では、特定の条件下でのみ有効になる設定フラグに誤りがあり、ユーザーに一時的にエラー画面が表示されてしまったことがありました。設定ファイルの一行ですら、慎重に扱わなければこのようなトラブルに繋がってしまうのです。

3. 障害の背景にある“足りなかったこと”

では、なぜリリース障害は発生するのでしょうか。原因は多岐にわたりますが、特に多いのが「テストの網羅性不足」「レビュー体制の不備」「チェックプロセスの甘さ」といった要因です。

たとえ綿密にテストケースを作成していても、実際のユーザー操作はしばしば想定を超えてきます。その“想定外”をどれだけ拾えるかが、品質を左右する重要なポイントとなります。
また、レビューにおいても単なるコードの正当性チェックに留まらず、「この修正は他の部分に影響を及ぼさないか?」という観点が極めて重要です。自分では気づけない点でも、第三者の視点によって容易に発見できる場合もあります。

4. リリース障害を防ぐために

ここからは、リリース障害を未然に防ぐために私が特に重視している3つのポイントをご紹介します。

影響範囲の徹底的な把握
改修内容がシステム全体にどのような影響を及ぼすか、徹底的に洗い出します。必要に応じて関連部署や担当者にヒアリングを行い、情報の漏れを防ぎます。
多角的なテスト設計
想定内の利用パターンだけでなく、通常では起こり得ない操作も意図的に試みることで、意外な不具合を発見することが可能です。
本番に近い環境でのリハーサル
本番と極力同等の環境で事前リリースを実施し、思わぬ不具合の有無を確認します。さらに、万が一に備えたロールバック手順も事前に整備しておくことで、安心して本番に臨むことができます。

5. 最後に問われる“チームの力”

それでもなお、100%障害を防ぐのは困難です。だからこそ、障害発生時に「迅速に連携し、冷静に対処できるチーム」が存在することが何よりも重要です。
過去にリリース障害に見舞われた際、チームで協力しながら迅速に復旧対応を行った経験は、後になって「良いプロジェクトだった」と思い返されることもあります。

結論として、システム改修には慎重さが求められますが、恐れずにチャレンジする姿勢も大切です。そして、リリース障害を乗り越える鍵は、日頃からの“備え”と“チームワーク”に他なりません。ぜひ、皆様の現場でも改めて備えの体制を見直していただければ幸いです。

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