
1. ITと著作権が出会う場所
日々の開発の中で、コードを「再利用」したり、ライブラリを「引用」したりすることは当たり前になっています。しかし時には、「これは著作権的に大丈夫なのだろうか?」と疑問に思うこともあります。
本来、技術と著作権は全く異なる文脈で生まれたものですが、現代では密接に関係しています。
この2つがどう出会い、交わってきたのか。その歴史をひもとくことで、「コードを書くこと」と「権利を守ること」の意味が、より深く理解できるようになります。
2. 著作権のはじまりとは
著作権という考え方は、実は印刷技術の発明と深く関わっています。
15世紀、グーテンベルクが活版印刷を発明したことで、本の大量生産が可能になりました。それまでの手書き写本の時代とは全く異なるスピードと規模で情報が広まるようになったのです。
その一方で、オリジナルの著者に許可なく複製される問題も起こるようになりました。こうした課題を受けて、18世紀のイギリスで「アン女王法」という世界初の著作権法が制定され、著作者の権利を保護する仕組みが生まれました。
つまり著作権は、技術の進化に対して社会が生み出したルールであると言えるのです。
3. ソースコードも「著作物」です
現代においては、ソースコードも文章に似た性質を持つと考えられています。書いた人のクセや思想が設計や記述スタイルに反映されるからです。
実際、ソースコードは著作権法上「文学的著作物」として保護の対象になります。これは1980年代以降、アメリカを中心に議論され、国際的にも認められるようになった経緯があります。
つまり、エンジニアが書いたコードにも著作権が発生します。意外に知られていませんが、コードも立派な創作物なのです。
4. オープンソースと著作権の関係
最近ではGitHubなどを通じて、オープンソースの文化が広がり、多くのプロジェクトで活用されるようになりました。私自身も、日々の開発で多くの恩恵を受けています。
しかし、「オープンだから自由に使っていい」という認識には注意が必要です。
オープンソースは著作権を放棄しているのではなく、特定のライセンス条件のもとでコードを公開しているという考え方に基づいています。MITライセンス、GPL、Apache Licenseなど、それぞれ利用や再配布の条件が異なるため、使用前に内容を確認することが大切です。
これは、技術が進化する中でルールを整備し続けてきた人類の知恵の表れとも言えるでしょう。
5. AI時代における著作権のこれから
近年では、AIが自動でコードを生成したり、画像や文章を作成したりする場面も増えてきました。私も業務の中でその便利さを実感しています。
一方で、「AIが作成したものの著作権は誰にあるのか?」という新たな疑問も生まれています。さらに、その生成物を利用する際に著作権侵害にならないかという問題もあります。
現時点では法律が十分に追いついていない部分も多く、今後の議論が待たれる領域です。ただ、私たちエンジニアやクリエイターが倫理的な観点からどう行動するかは、今後さらに重要になってくると感じています。
歴史が教えてくれるのは、技術の進化に応じて社会がルールをつくり直してきたという事実です。だからこそ、技術を使いこなすだけでなく、その背景にある考え方やルールを理解することが、よりよい未来につながっていくと考えています。
ITと著作権の関係は、単なる法律上の話にとどまらず、技術の背景にある人間の文化や価値観を映し出しています。歴史を知ることで、今自分たちがどのような立場にあるのかを理解でき、創作物に対する責任や誇りも自然と芽生えるはずです。技術の進化とともに、私たちも進化し続ける存在でありたいと思います。

<<IAJってどんな会社?>>
創業以来24年、専門知識が少ないジャンルでもお客様とお話ししながら伴走していくようなスタイルで、必要であればコード解析から行い、最新技術を取り入れながら、お客様のご要望(課題)を限りなく近い形で実現してまいりました。
おかげさまで、得意ジャンルはこれ、といった特化型な開発会社ではありませんが、 様々な業界のシステム開発を任せていただき、月間ユーザー200万人以上規模のポイント制度を用いたアプリ開発や1000万人規模のシステム開発をはじめ、多数のiOSやAndroidのアプリ開発や規模の大きなシステム開発などの実績を積んでまいりました。
私たちの強みは、実際に今後も時代に沿ってサービスも成長させていけるようなインフラ面も考慮した開発を行っている点で、実際にリプレイスを行いながら十数年にわたって運用しているサービスもございます。
他にも、元々は他社で構築したサービスのリプレイスについても実績はございますので、ぜひ一度、私たちに検討されているシステムについてご相談してみませんか?