近年、人手不足や人件費の増加が企業の重要課題として挙げられる中、AI技術を活用したシステム導入が注目されています。AIエージェントやLLM(大規模言語モデル)を導入することで、業務の効率化やコスト削減を図るだけでなく、顧客満足度の向上やカスタマーサポートの品質向上も期待されています。しかし、実際に導入した際にどのような成果が得られるのか、不安を抱えるかたも少なくないのではないでしょうか。
本記事では、当社提携企業の事例を通じて、AIエージェントが人手不足やコスト削減、顧客満足度向上にどのように貢献したかを具体的にご紹介します。
各事例から、貴社でも参考にしていただけるヒントや解決策をお届けできれば幸いです!
提携企業について
今回事例をご紹介する提携企業様は、こちらのページでご紹介させていただいていた、慧言科技(天津)有限公司様です。
音声・言語処理分野における研究をはじめとする技術開発で高い実績を誇り、ICASSP、INTERSPEECH、ACLといった音声・言語処理分野で国際的に評価されるカンファレンスにおいて、過去5年間で100本以上の論文を発表しています。
競争率が高く採択されることも難しいとされる中で、この成果は業界でも国際的にリーダーシップを取る水準だと言われています。
これら実績の基となる先進技術が、彼らのシステム開発中にも活かされ、多くの人手不足や業務効率化の課題解決をされているのですね。
※ ICASSP:音声・信号処理分野の国際学会 INTERSPEECH:音声技術特化の国際会議 ACL:自然言語処理の最先端学会
そんな慧言科技様が実現してきた課題解決システムの中から、今回は異なる分野での3つの事例をピックアップしました!
車両修理、ソーシャルコマース、ゲームオペレーターといった多様な分野で、AIエージェントがどのように課題を解決したのか、ご一緒に見ていきましょう。
この記事では、AIエージェント導入による「経費削減」「業務効率化」「顧客満足度向上」を実現した当社提携企業の具体事例をご紹介します。
多言語対応のカスタマーサポートやSNSプロモーションの自動化、高品質なメンテナンス支援など、多彩な分野での活用法を解説しています。
システム導入による効率化を検討されている皆様にとって、長期的な成長を支えるAIエージェント活用の一助となる情報をお届けできれば幸いです!
導入事例3選
某高級セダン社のメンテナンス支援システム
導入背景と課題
高級セダンのメンテナンスをサポートするにあたり、担当者の知識量やスキルにはバラつきがあり、対応品質にも違いが生じることが課題となっていました。
特に中国の4S店と言われる店舗では、Sales(販売)、Spare parts(部品供給)、Service(アフターサービス)、Survey(フィードバック)をワンストップで提供し、質の高いサービスを誇るため、対応品質の差は大きな課題でした。
このため、知識が不足している担当者でも迅速かつ正確にメンテナンスの対応が行えるように、過去に蓄積された豊富なメンテナンス事例を活用したAIシステムの導入にいたりました。
機能面
- チャット形式での質疑応答
現場でメンテナンス修理を行う担当者が、問題の特定と検証段階で発生する疑問や質問に対し、学習した情報を元に、AIがリアルタイムで回答を提供する。 - 故障情報の抽出と会議要約
過去の修理事例からその時に必要な情報を抽出し提示する。また、関連する過去の議事録の要約も行い、結果として表示させる。 - オンライン予約機能や専門家との連携
メンテナンスの予約管理システムとの連携はもちろん、担当者にとってチャットでは対応が難しい場合はオンラインで専門家を呼べる機能を構築するなど、人とAIエージェントとの連携も行う。 - 顧客フィードバックの集約
メンテナンス後の顧客のフィードバックや対話情報を収集・分析し、サービス改善に活用。
成果
AIシステムの導入により、過去の修理ケースや技術情報の整理が進み、修理担当者が問題を特定し解決するスピードが大幅に向上し、顧客満足度の向上に繋がったと報告されています。
その結果、現在では、質の高いサービスを誇る4S店でのシステム導入が数百店舗に及び、顧客に包括的なサポートとともに、迅速かつ一貫した高品質の修理対応が実施されています。
技術面
今回使用された技術は、LLM(大規模言語モデル)やRAG(Retrieval-Augmented Generation)、ベクトルDB、ナレッジグラフといった最新技術を駆使しています。
Eコマースでの自動アプローチシステム
導入背景と課題
Eコマースにおけるブランド認知度を高めるため、SNSでのプロモーションが重要視される一方で、継続的かつ効果的な運営には多くのリソースとコストがかかりますよね。そのため、コストを抑えながらSNSでのメディア発信を効率化し、ブランド認知度を高めることが課題となっていました。
中でも今回は、SNS投稿の内容の多様化や、フォロワーの反応を分析して改善につなげる作業に繋げたいというニーズもあり、今回の開発に至りました。
機能面
- テーマ指定によるコンテンツ生成
マーケティング担当者が指定したテーマに基づき、あらかじめ取り込んでいたプロモーション用の画像付きコンテンツを自動で生成する。 - 投稿とスケジュール設定の自動化
投稿内容をスケジュール化し、それに従い自動でSNSに投稿。インプレッションなどのフィードバックから効果的なタイミングを学習し、投稿を行う。 - データ分析
投稿の反応やフォロワーのエンゲージメントデータを収集・分析を行い、戦略の検討材料として提供する。
成果
システムの導入により、ソーシャルメディアのフォロワー数が13.3%増加し、「いいね」率も43%向上しました。
また、ほぼゼロに近い人力投入でプロモーション運営の効率を大幅に高め、ブランド認知度を効果的に向上させることに成功しています。
技術面
ここでは、コンテンツを発信するSNSと連携を行うAPI、LLM、画像生成技術、MAS(マルチエージェントシステム)を活用。これにより、コンテンツの生成から投稿、分析までを一貫して行うことが可能となり、SNS運営の全体的な効率も向上させています。
ゲームオペレーターにおけるカスタマーサポートシステム
導入背景と課題
この依頼主であるゲーム会社は、海外向けモバイルゲームの提供地域をヨーロッパ、北米、香港・マカオ・台湾、日本・韓国などに拡大しています。
これに伴い、海外プレイヤーへのサポート強化が求められ、アカウント管理やイベント案内、課金・返金対応といった日常で生じる様々なカスタマーサポートを24時間体制で提供する必要がありました。
また、多言語対応による語学スキルとゲームにおける専門知識が要求されるため、人材の育成コストが高いのに、先ほどの理由から担当者の離職率も高いという課題が発生していました。
こうした課題を解決するため、カスタマーサポートを自動で行えるシステムを構築に至りました。
機能面
- 顧客向けのAIアシスタントによるカスタマーサポート
いつでもプレイヤーの質問や問い合わせに対応できる体制を整え、地域や時差を問わず、テキストと音声による迅速なサポートを行う。 - カスタマーサポート担当者向けのAIアシスタント
テキストと音声の両方に対応し、プレイヤーのニーズに応じた柔軟なサポートを提供する。 - ゲームのナレッジベース構築
よくある質問やトラブルシューティングを集約したナレッジベースを構築し、効率的な回答を行う。 - 多言語対応
多言語でのサポートが可能となり、海外市場向けゲームの円滑な運営を支援する。
もう少しわかりやすくするために、運営管理、カスタマーオペレーター、チャットでの顧客対応、それぞれの立場でのシステムの役割を確認してみましょう。以下画像をご参照ください。
- 運営管理におけるAIエージェントの役割
LLMやナレッジグラフの技術を用いて、過去のQ&Aや情報リソースをもとに迅速にナレッジベースを構築し、サポートの精度を高めています。これら複数の情報ソースを網羅した上でAIエージェントは返答を行います。
回答情報に対してトレーサビリティ機能も持たせており、運営チームがサポート内容を追跡・検証しやすく、信頼性の向上にも繋がります。 - カスタマーサポートにおけるAIエージェントの役割
LLM技術に基づく言語理解と意思決定機能により、AIエージェントはユーザーの問い合わせ内容を分析し、人の介入の必要性を判断します。例えば、音声通話の場合に、「お客様から批判的な特定の言葉が出たら人のオペレーターへ繋ぐようにする」などのように判断します。
その際、人のオペレーターへはAIエージェントが対応した会話内容を要約し引き継ぎ、その後も、最適な応答を提案するなどのサポートも行うため、引き継ぎの際にかかるコストの削減や効率的な対応が可能になります。 - 顧客対応におけるAIエージェントの役割
LLMの高度な自然言語処理能力を活用し、顧客からの質問を的確に理解した上で適切な回答を返します。
また、AIエージェントは対話中の前後の文脈を考慮し、このゲームにおける専門的な表現や口語にも対応するため、会話の流れが途切れることなく、ユーザーはAIエージェントと自然な対話を行えます。
成果
このカスタマーサポートシステムの導入により、少人数の人員でグローバル対応が可能となりました。
実際の数値で見ると、従来のシステムと比べて稼働開始までの時間が70%短縮され、ボットによる問い合わせ対応率が20.8%向上しました。顧客満足度も23.5%上昇し、プレイヤーの離脱率が4.9%減少するなど、サービスの質と効率性が大幅に改善されました。
技術面
ここでは、LLM(大規模言語モデル)と高度なAIエージェント技術を使用。LLMは顧客の自然な質問や表現を理解し、正確な回答を提供するために役立っています。
また、AIエージェント技術は意思決定プロセスやナレッジベースの活用を強化し、顧客の意図をより的確に理解できるようにしています。これにより、問い合わせにも迅速かつ一貫性のある対応が可能になり、顧客満足度の向上に大きく貢献することができました。
以上3つの具体例を見てきましたがいかがでしたか?
AIエージェントを導入することにより、働き手による能力差を補ったり、不必要な心身的疲労や手間や労力が省け、対応速度が向上し、結果的に顧客満足度につながっているというわけですね!
高品質=人が対応する、というようなイメージがありましたが、人でなくてはいけない「おもてなし」的な部分へ注力するためにも、バランスを考えながらAIエージェントを導入し、力を合わせてサービスをお客様へ提供するという意識が大事になりそうですね。
まとめ
では、まとめです。今回の記事では、当社の提携企業がAIエージェントを導入した3つの具体的な事例をご紹介しました!
最後に
今回ご紹介した事例は一部ですが、AIエージェントやLLM技術を活用することで、業務の効率化だけでなく、顧客対応の質の向上やコスト削減にも大きく貢献することがお分かりいただけたのではないでしょうか。
今回事例になかった業界でも、「これができるなら、うちならこんなふうに活用できそうだな….」と、解決案の一助になっていれば幸いです。
また、これまでの事例でご紹介した通り、貴社のビジネスに合わせたカスタマイズが可能ですので、業界やニーズを問わず、多方面で活用することができます。もし、本記事の事例が貴社にとっても役立ちそうだとお感じいただけましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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私たちが、提携先である慧言科技の実績と最新のAIエージェント技術をもとに、貴社の課題解決を全力でサポートさせていただきます。
今回は以上になります。最後までお読みいただきありがとうございました!
<<IAJってどんな会社?>>
創業以来24年、専門知識が少ないジャンルでもお客様とお話ししながら伴走していくようなスタイルで、必要であればコード解析から行い、最新技術を取り入れながら、お客様のご要望(課題)を限りなく近い形で実現してまいりました。
おかげさまで、得意ジャンルはこれ、といった特化型な開発会社ではありませんが、 様々な業界のシステム開発を任せていただき、月間ユーザー200万人以上規模のポイント制度を用いたアプリ開発や1000万人規模のシステム開発をはじめ、多数のiOSやAndroidのアプリ開発や規模の大きなシステム開発などの実績を積んでまいりました。
私たちの強みは、実際に今後も時代に沿ってサービスも成長させていけるようなインフラ面も考慮した開発を行っている点で、実際にリプレイスを行いながら十数年にわたって運用しているサービスもございます。
他にも、元々は他社で構築したサービスのリプレイスについても実績はございますので、ぜひ一度、私たちに検討されているシステムについてご相談してみませんか?