
阪神淡路大震災から30年を経て、改めて日本に住む上で「防災」について考えさせられます。
これまで防げなかった被害や災害時の問題は、最新技術AIによって解決できる可能性が広がっています。本記事では、過去の災害から学んだ教訓と現在のAI技術がどのように結びついているのかを深掘りし、未来の災害対応がどのように進化していくかを考えてみたいと思います。
この記事では、今後重要になる「AI技術」×「災害対応」の現状や課題、これからについてをお話しています。
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・災害時の備えについて漠然とした不安を感じている方
・震災など、これからどのような対策が必要か気になる方
・AIによる防災や災害対応に興味をお持ちの方
・自治体や企業で防災計画の策定やリスク管理を担当している方
AI技術がどう変える?進化する災害対応
災害大国である日本では、地震や台風といった自然災害に日々備える必要があります。
近年、進化するAI技術が災害対応にどのような変化をもたらすのか、多くの注目を集めています。
この記事では従来の災害対応の課題、AIがそれをどのように解決するのか、そして未来の可能性について掘り下げていきましょう。
その1:災害予測の進化がもたらす安心感
AIは、これまで予測が難しかった災害の発生を事前に察知し、早期避難を可能にする技術を提供しています。
地震や洪水の発生を事前に予測する技術は、住民の安全を守るために欠かせません。従来のシステムでは、データ解析の限界から避難指示が遅れることがありました。
Google の洪水予測モデル『Google AI Flood Forecast』
Google Researchチームは、洪水分野における人工知能(AI)の応用により、機械学習に基づいた河川予測モデルを開発しました。このモデルは、過去5年間に発生した洪水を正確に再現することができ、これに基づいて現在の洪水予測でも高いパフォーマンスを発揮します。現在システムは 80 か国以上で最大7日前までの洪水予測が可能です。
参照元:How we are using AI for reliable flood forecasting at a global scale
その2:災害現場での状況把握が迅速に!
災害時には、被害地域の特定や被災者の安否確認が最優先事項ですが、従来の方法では対応に時間がかかることが課題でした。
国連のUNOSATプロジェクトでは、AIを活用して衛星画像を解析し、災害直後に被害エリアを特定する技術が用いられています。この技術により、救助隊は優先的に救助が必要な地域に迅速に到達できるようになり、救命率の向上が期待されています。
その3:避難所運営と物資管理の効率化
災害後の避難所運営では、避難者数の正確な把握や物資の需要予測が重要ですが、従来は人手に頼っていたため混乱が発生しやすい状況でした。
日本の一部自治体では、AIによる顔認識技術を利用して避難者の人数をリアルタイムで管理するシステムを導入しています。また、物流AIが支援物資の需要予測と供給を調整し、物資不足や過剰を防ぐ仕組みが実現されています。
過去の災害対応を振り返る:最新技術でどう解決できる?
阪神淡路大震災や東日本大震災など、日本が経験してきた大規模な災害は、多くの教訓を私たちに残しました。
当時の技術では解決が難しかった問題も、現在のAI技術であれば大きく改善できた可能性があります。
この章では、過去の震災での具体的な課題を振り返り、それに対するAI技術の解決策を考察します。
その1:情報伝達の遅れを解消する
【当時】課題とは. . .
避難所には安否確認の問い合わせが殺到し、避難者名簿の作成が必要でしたが、通信手段の不足や情報の遅延が問題となりました。
参照元:阪神・淡路大震災教訓情報資料集・避難所の運営
【現在】AIを活用すると. . .
情報通信研究機構(NICT)は、AIを備えた防災チャットボット「SOCDA」を開発し、多数の被災者とのコミュニケーションを効率的に行うシステムを構築することで、災害時の問い合わせ対応や避難情報の提供の迅速化や人命救助に貢献しています。
参照元:災害時における AI 技術の活用の実例と将来像—防災チャットボット:SOCDA と AI 画像災害認識法
阪神・淡路大震災当時、避難指示や支援物資の情報が適切に伝わらず、多くの混乱が生じました。
現在、AIを活用したチャットボットや情報解析システムを利用することで、リアルタイムで必要な情報を提供できるようになっています。
その2:被害状況を迅速に把握する
【当時】課題とは. . .
震災直後、被害状況を調査するためのリソースが限られており、全体像を把握するまでに数日を要することがありました。
参照元:神戸新聞社「6つの提言」から10年 「攻めの防災」現状と課題
【現在】AIを活用すると. . .
国連のUNOSATプロジェクトでは、AIが衛星画像を解析し、被害エリアや避難が必要な地域を迅速に特定しています。この技術は東日本大震災以降、災害対応の現場でも効果を発揮しています。
参照元:UNOSAT Projects
AIによる衛星データ解析を用いれば、災害直後に被害エリアを特定し、救助活動を迅速化できます。
これまでは多くの被災地で被害状況の特定が遅れ、救助隊の到着や支援の遅延が発生していましたが、こうした問題を大幅に改善できます。
その3:避難所運営の混乱を最適化する
【当時】課題とは. . .
阪神淡路大震災では、避難所の人数管理や物資の供給が手作業で行われ、多くの場所で混乱が起こりました。また運営状況が把握できず、支援物資が不足している場所と過剰な場所が発生しました。
参照元:阪神・淡路大震災教訓情報資料集・避難所の運営
【現在】AIを活用すると. . .
AIを活用した避難所管理システムにより、避難者数のリアルタイム把握や物資の需要予測が可能となり、運営の効率化が進められています。
参照元:⾸都直下地震を⾒据えたデジタル技術の活⽤の現状等
震災時、多くの避難所で物資の不足や過剰、避難者の情報管理の不備が見られました。
AIを活用することで、避難所の運営を効率化や、物資の適切な配分や避難者の管理が可能となり、これらの課題が解決できると考えられています。

過去の課題に対して、AI技術を活用することで被害の最小化を目指すことできそうです!
AIロボットが現場で活躍!進化する救助活動
地震や津波といった災害現場では、人間が立ち入るには危険すぎる場所が多く存在します。そんな中、AIロボットの進化が救助活動の現場を大きく変えようとしています。
これからの災害対応において、AIロボットがどのように役立つのか、実際の事例をもとにご紹介いたします。
その1:立ち入り不可を可能にする四足歩行ロボット
✅ 四足歩行ロボット「Spot」
ボストン・ダイナミクス社の開発した「Spot」は、福島第一原子力発電所の廃炉作業において、データ収集や放射線量の測定、瓦礫のサンプル採取などに活用されています。
この取り組みにより、人が立ち入ることが困難な高放射線エリアでの詳細な情報収集が可能となり、廃炉作業の効率化と安全性の向上に寄与しています。
参照元:Spot in Fukushima Daiichi
その2:遠隔操作で活躍!救助ロボット
✅ 災害対応ロボット「Quince」
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)が開発した災害対応ロボット「Quince」は、福島第一原子力発電所の内部調査に投入され、内部の画像撮影や放射線量の測定を行いました。こちらを利用したことで、現地作業員の被曝量軽減や作業工期短縮に貢献しています。
参照元:Quince開発コンセプト
その3:水中捜索や津波被害の対応ロボット
✅ 水中ロボット
東北地方の津波被害調査では水中ロボットが用いられ、流出物資の位置特定、海底地形の変化のモニタリングや被害状況の詳細な把握の為に活用されました。 これにより、被害状況の詳しい解析が可能となり、復興活動に貢献しました。
参照元:海中システム技術・海洋環境管理技術に関わる震災・津波・原発事故の復旧・復興支援と防災に関する研究委員会

これまで不可能だった場所での救助活動を可能にするロボット、頼もしいですね!
AIによる災害対応システムの課題と対策
AIが災害対応を大きく変える可能性を秘めている一方で、技術的・運用的な課題も存在します。
この章では、AIの課題を具体的に挙げつつ、それを克服する未来のビジョンについて掘り下げていきます。課題を正しく理解し、乗り越えることでAI技術の可能性を最大限に活かすことができるでしょう。
課題1:通信インフラ破壊時のAIの限界
災害時に通信インフラが破壊されると、AIの機能が制限されるリスクがあります。
多くのAIシステムはクラウドやインターネットに依存しており、通信が途絶えるとデータ処理や情報共有が困難になるからです。東日本大震災の際、広範囲で通信インフラが損壊し、情報伝達が滞った事例も報告されています。
現在の対策💡
衛星通信を活用したバックアップシステムの導入が進められています。
SpaceXのStarlinkでは、災害時でもインターネット接続を提供できる技術を実現しています。
2025年1月、ロサンゼルスでの大規模な山火事の際、イーロン・マスク氏は被災地域に無料のStarlink端末を提供することを発表しました。この取り組みにより、避難者や救助隊がインターネット接続を確保し、情報の共有や連絡手段の維持が可能となりました。
参照元:Elon Musk says SpaceX will provide free Starlink terminals to areas hit by LA wildfires
課題2:データ不足や偏ったデータによる誤判断
AIの災害対応精度は、学習データの質と量に依存しており、偏ったデータは誤判断を招くリスクがあります。
AIは過去のデータをもとに予測や判断を行いますが、特定の地域や災害種類のデータが不足していると、正確性が損なわれる可能性があります。国連は、発展途上国の災害データが不足している為、AIの予測が特定地域に偏るリスクを指摘しています。
現在の対策💡
日本では、過去の地震や台風データを統合した「防災データベース」の整備が進められ、AIの学習精度向上に取り組んでいます。内閣府による令和6年度の防災計画においても、IoT・ビッグデータ・AIといった情報科学分野の科学技術を採り入れた調査研究等を行い、従来の地震調査研究に革新的な知見をもたらすことを目指すとされています。
参照元:令和6年度の防災に関する計画
課題3:倫理的問題とAIの責任の所在
災害時にAIが判断を下す場合、その倫理性や責任の所在が課題となっています。
AIの判断によって人命に関わる意思決定が行われる場合、責任をどこに帰属させるかは未解決の問題です。また、判断が「公平」であるかどうかも議論の余地があります。アメリカでは、災害時にAIが救助対象を優先順位付けするアルゴリズムを導入された際、判断基準の透明性が問題視されことがありました。
現在の対策💡
総務省が策定した「AI利活用ガイドライン」では、AIの透明性確保と公平性を担保するための指針が示されています。このガイドラインは、AIの利活用において留意すべき原則や具体的な解説を提供しており、人間中心のAI社会原則を踏まえたAI開発利用原則を定めており、遵守することが期待されています。
参照元:AI利活用ガイドライン
【まとめ】AIがもたらす安全な未来への第一歩

本記事では、AIが災害対応をどう変えるのか、そして私たちの未来に何をもたらすのかを探りました。
最後にこれまでのポイントを振り返り、未来の可能性について考えていきます。
AIが変えた災害対応の現状
残された課題とその解決策
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災害がいつどこで発生するかは誰にも予測できません。まだ課題もありますが、AI技術の進化によって効果的に対策できるようになるとありがたいですよね。
よくある質問と回答
- AIが人命救助にどのように役立つのか具体的に知りたいです。
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AI搭載ロボットやドローンは、瓦礫の中を自律的に移動し、被災者を探す役割を果たします。搭載されたカメラやセンサーが被災者を検知し、救助隊に正確な位置情報を提供します。この技術は、人間が危険なエリアに踏み込まずに救助活動を進められる点で非常に有効です。
- 個人が利用できるAI防災ツールにはどのようなものがありますか?
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災害情報アプリ「Yahoo!防災速報」や地震警報アプリ「MyShake」などがあります。これらのツールは、AIが解析した正確な情報をリアルタイムで提供してくれるため、個人でも簡単に災害への備えが可能です。どちらも無料で利用できる点も魅力的です。
- AIによる災害対応は世界でどの程度進んでいるのでしょうか?
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世界的には、AIを活用した災害対応の実績が増えています。Googleの洪水予測技術はインドやバングラデシュで活用され、多くの命を救いました。また、国連が運営するUNOSATプロジェクトでは、AIで解析した衛星データが各国の災害対応に役立っています。
まとめ
最後に、AIを活用した災害対策&対応についての利点や課題、今後の展望などについて振り返ります。

日本に住む以上避けては通れない災害対策。
今回、AIを活用することが従来の限界を超えた効率的な災害対応と復興活動が可能になることを知れました。これからも情報へアンテナを張っていきたいと思います。こちらを読んでいただいた皆さんの頭の片隅に少しでも、『防災』についての引っかかりとなれれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!

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